異世界の訪問者 2
この小説はフールさんの小説「ルイージの小説」の二次創作です。
-第2話-
「…!っ危ない!!」
そう叫んだ瞬間だった。ノコノコの子供の真下に突然空間が歪みだし、何者かが現れ空中で抱えた。
そこには紫と黄色の道化師衣装を纏い、僕から見て右半分黒、左半分白に覆われ、上向きの三日月型の目をしており、右目は黄色く、左目は黒い。仮面なのか顔なのか区別の付かない容姿をしている。
そして、その道化師はゆっくりと降下し、抱えている子供を降ろした。
何で、ここにいるんだ?
あいつは僕の精神世界の中で消え去ったはず。
そもそも、どうやって消滅を免れ実体を手に入れたかさえ分からないのに、あんな奴が子供を救出する事すら理解できない。
…それとも、あの子供を利用するために危機的状況から助け出して信用させようとしてるのだろうか?
助けられた子供はかなり驚いたようで、口と目を大きく開き、呆然としていた。
そんな様子も気にせず、道化師の顔に下向きの三日月型の赤い口が表れ、満面の笑みのようだ。
「無事でよかったぁ~。大丈夫?怪我はないかい?」
安堵と満面の笑みから、心配そうな表情と声色へと変わる。
その言葉で子供は我に返り、一気に顔が曇り始める。
「…うん、大丈夫。助けてくれてありがとう、道化師さん。」
そんな子供の様子に道化師はやや顔を歪めたが、それもすぐに戻る。
「ほら、そんな暗い顔しないで元気出しなよ♪でも、もうあんな危ない事はもうしちゃダメだからねぇ?」
道化師は励ましと注意の言葉を掛ける。
すると、少年の顔は晴れ、元気良く声を発した。
「うん!分かった、僕気を付けるよ!」
まるで母親のような道化師の姿は見ていて滑稽だった。